あなただけの騎士
***

──放課後──



「帰るぞ」

「うん!あ、ゲーセン行ける?今日、放課後予定あるんでしょ?」


そんな会話をしながら駐車場まで歩く。


あー…そういえば来いとか言われたな…


「大丈夫。あいつら、優しいから」

「へ〜。そんなにその人たちのことが好きなの?」

「……別に」


嫌い、といえば嘘になる。
けどあいつらは好きとか嫌いの話じゃないんだよ。
大切な…大事な仲間だ。


「へ〜、好きなんだ!」

「…別に、好きじゃない」


…好きじゃないって言ったのに。


「嘘つかないの!嘘つく時の癖でてる!
それに、その人たちの話してる時、笑ってたよ?春樹が笑う相手なんて数人しかいないじゃない」


桃華ってよく人のこと見てるよな…

その笑う相手の中に自分もいるってわかってんのか?


…いや、わかってねぇな。


「ほら、ゲーセン行くんだろ?早く行くぞ」

「あ、待ってよ!」

俺はバイクの後ろに桃華を乗せ、ゲーセンまで走らせた。


***


「あ〜、楽しかった!!ここのゲーセンおもしろいね」

「そうだな。また来るか、2人で」

「うん!また来よっ!」


2人で行こうって言ったんだけど…
深い意味を持ってないと思ってるよな…?


まぁ、それが桃華か。


「ほら、暗くなる前に帰るぞ。送る」


「ありがとー。そこまで遠くないから1人でも大丈夫なのに…」


「俺が好きでやってるからいいんだよ」

「…そういうと思った」

『そういうと思った』

…俺のことを理解してくれてるみたいでなんか…
やべぇ…


***


「ほら、着いたぞ。じゃあな、また明日」

「うん!またね!」


桃華が家に入るのを見届けてから


携帯を出す。


…ここまで着信来てると気持ち悪い…


とりあえず正春にかけるか。


RRRRR…

「もしも『馬鹿野郎!!お前、今まで電話にでも出ないで何してたんだよ!!』
…桃華とゲーセンにいた」

『そんなことはわかってんだよ!!いいから早く公園まで来いっ!』


「…わかったよ」


うるせぇ…電話に出ないだけでなんでこんなに怒るんだよ…
めんどくせぇ…


俺は野いちご公園に向かった。
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