忘却街の秘密の洋館
・・・
「やっと現れたな、クソ野郎」
「そんな口悪くて、よく店主が務まるな。あきれた店だ」
「うるせぇ。悪態つかれたくなきゃ、出ていきやがれ!」
「この寂れた店に金を落としてやろうって言ってるんだ。さっさと用意しろよ」
口が悪いのは相変わらず。
オレと同じ年齢に見えるのは、ヤツが童顔すぎるから。幼い顔立ちだけれど、オレより10も違う27歳とか笑える。
「久しぶりに来たと思えばなんだ。店を潰しに来たか?」
「潰す価値もない」
「あーあー、わかってる。依頼のことと、依代《よりしろ》だな」
「わかってるなら、さっさと言え」
彼の名前はシャルナ。
昔から家族ぐるみの仲……だった。
オレの両親に不幸があってから、疎遠ぎみだ。
オレが避けていたのだから仕方ないが、それでもシャルナは変わらず付き合いを続けてくれていた。感謝しかない。
素直に言うつもりはないが。