その男、カドクラ ケンイチ
「あれ?カドクラ君?」
カドクラの名前を呼ぶ声が聞こえた。
「え・・!ナガノ先生ハックション!」
声の方を見ると同時にくしゃみが出たが、そこには現在産休中の2年6組担任 ナガノがいた。
「久しぶり!どうしたの?風邪?」
「お久しぶりですナガノ先生。
はい。見ての通りです。」
ナガノのお腹は更にぽっこりしていた。
「ナガノ先生はお元気ですか?」
「うん。お腹の子も元気だよ。
今日は検診なんだ。」
「あ、ここ産婦人科もあるんですか?」
「2階は産婦人科なの。
学校から一番近いって理由でここにしたんだけどね。」
「そ、それは・・ハックション!」
「わぁ、大丈夫?」
ナガノはポケットティッシュをカドクラに差し出す。
「すみません。」
「6組の子達元気にしてる?」
「ええ。みんな元気にやってますよ。」
「そっか。」
「生徒の子達は僕に任せてください。
赤ちゃん産まれたらみんなで見に行きますよ。」
「ありがとう。じゃあまた連絡するね。」
ナガノはエレベーターへと向かった。
会計を済ませたカドクラは薬を片手に病院を出る。