その男、カドクラ ケンイチ
「なんだあの女。」
カドクラは職員室に戻って、
とりあえず授業の準備をする。
「お~カドクラ。」
時刻は8時。
エンドーが登校してきた。
「あ、おはようございます。
昨日はご馳走様でした。」
「ウコンの力ってあてにならんな。」
「二日酔いですか?」
「最後のウーロンハイが効いたぜよ。」
(さりげなくエンドーに聞いてみようか。
何か知っているかもしれない。)
そう感じたカドクラはエンドーに尋ねる。
「さっき6組行ったら、さっそく女の子が登校してましたよ。
結構生徒も早く登校してくるんですね。」
「ひょっとしてちょっと茶色がかった髪のやつか?」
「ええ。」
「多分オオシマだな。あいつはいつも早いよ。」
(オオシマか。)
カドクラが顔と名前を覚えた最初の生徒になる。
「お前、なんか言われた?」
「いや、挨拶程度です。」
とりあえずナガノのことは伏せた。
「そうやってちょっとずつ名前覚えてけばええよ。」
「はい。」