その男、カドクラ ケンイチ
カドクラが職員室に戻ると、既に売店で昼飯を調達していたエンドーがピザパンを食べていた。
「エンドー先生、さっきはありがとうございました。」
「ノノムラのこと?大丈夫だったか?」
「ムトウ先生はご立腹でしたけど。」
「何やらかしたの?」
「どうも授業中に携帯いじってたらしくって。」
「あぁそういうパターンね。」
カドクラはジャムパンをかじりながらマミーにストローをさす。
「てか、あいつが黒酢のデマを流したんだろ?
月にかわってお仕置きしたらんでいいんか。」
エンドーはメロンパンの袋をあける。
「それはゼーラームーンに任せます。」
カドクラは生徒名簿を開く。
【ノノムラ マキ】
他の生徒とあまり変わらないプロフィールだが、
保護者の欄には母親の名前が載っている。
母子家庭の生徒だった。
カチャカチャ
「相変わらずうめぇな。」
「ああ!!
エンドー先生何食べてるんですか!?」
「カスタードプリン。」
「それ生徒限定ですよ!」
「俺は卒業生っていう特権があんだよ。」
「せこい!」
第16章 完