その男、カドクラ ケンイチ
「お金あったかな。」
内科の診察室を出たカドクラは財布を出しながら会計に向かう。
チャリン チャリン
小銭を確認していたら誤って2,3枚財布から落ちてしまう。
「あぁやべ。」
一番高価な500円玉がコロコロと転がっていき、ちょうど2Fへ続く階段のところで止まる。
コツ コツ コツ
「あーあっぶねぇ。」
カドクラは片膝をついて、なけなしの500円玉を無事に捕獲する。
コツ コツ コツ
階段から人が降りてくる足音が近づいたので急いで立ち上がる。
「あ、すみま・・」
「・・!!!」
カドクラは階段から降りてきた女性と目が合い硬直する。
それは女性も同じだった。
「・・・ノノムラ・・」
カドクラの視線の先には2年6組の生徒 ノノムラが立っていた。
病院は割りと大きく、学校から近く、診察を遅い時間までやっている。
内科、外科、皮膚科…etc
あらゆる診療科がこの病院の1階にある。
2階にあるのは唯一、産婦人科だけだった。