その男、カドクラ ケンイチ
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キーン コーン カーン コーン
3限目を終えるチャイムが鳴る。
「はい号令お願いします。」
この時間、カドクラは2年3組で授業をしていた。
「腹減ったよー」
「眠いよー」
授業が終わり生徒達は一気にガヤガヤする。
「よし。」
黒板を消し終わったカドクラは教室を出て職員室に戻る。
廊下を歩いていると6組からダテ ゆーへいが出てきた。
「先生、腹減ったよ。」
「あと1時間がんば。」
「またムトウに怒られんなよ。」
「何で?」
「さっきの授業中、ノノムラの携帯取り上げてたから。」
「またいじってたの!?」
「いや違うよ。ノノムラのかばんの中からバイブが鳴ったんだよ。
ノノムラは慌てて消したんだけど、ムトウは怒って取り上げてた。」
「・・・そうか。」
「大変だなあんな女のために。」
「ダテ、口が悪いぞ。」
「へいへい。」
カドクラは足早に職員室へと戻った。