その男、カドクラ ケンイチ
「カドクラちょっとグランド行かねぇか?」
「いいですよ。」
靴に履き替え2人は外に出る。
「昨日よぉ。
ナガノさんいたからあんま言えなかったんだけど。」
エンドーが少し神妙な面持ちで喋り出す。
「最近のうちの生徒って結構やんちゃというか、
なかなか難しくてよ。」
「やんちゃな奴らなら前の学校で慣れてますよ。
まぁやんちゃレベルを超えてますけど。」
「いや、そういう意味ならお前にうってつけなんだけどよ。
思春期ってこういうことなんだなって
俺教師になってここ数年でやっと理解したよ。」
「見た目は普通でも心の中では何か悩んでたり、
荒んでたりしているパターンもありますよね。」
「特に今の2年生はあるな。
実はナガノさんも昨年1年6組の担任していて
一時期プチ鬱になっちまったんだよ。」
「そうなんですか。」
「俺は何にも力になれなかったけどよ。
結婚して赤ちゃんできて
ようやく昔みたいに戻った。」
カドクラはなんとなく
今の堂々秀高校の現状を理解してきた。
そしてさきほどオオシマが言ったことも。
「エンドー先生、僕は多分大丈夫ですよ。
こう見えて結構無神経なので。」
「俺もそう思う。戻るか。」
2人は職員室に向かった。
第2章 完