その男、カドクラ ケンイチ







ーーーーーー



「起立

さようなら~」



「さようなら。気をつけて帰ってください。」


2年6組では帰りのHRが終わり、生徒達は部活や帰宅の途へ向かう。







「ノノムラ、ちょっと残ってて。」



カドクラは帰ろうとするノノムラを引き止めた。










あっという間に人がいなくなる教室。


カドクラとノノムラの2人だけになった。





「…」


ノノムラは黙ったまま席についている。





「はい。」


カドクラはムトウから預かったノノムラの携帯電話を取り出した。




「取り返してきた。」


カドクラは笑顔でVサインを出し、ノノムラに携帯を返す。





「…ありがとうございます。」


「これがないとお母さんと連絡取り合えないだろ。
ムトウ先生の配慮が足らなかったのは謝るよ。」


「…」


「でも授業中ぐらい電源は切っとけよ。」


「はい。」



ノノムラは既に泣きそうな顔をしていた。










「それとさ・・・
この前の病院での話の続きしてもいいか?」



「…はい。」


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