その男、カドクラ ケンイチ
理科準備室
『好きな先生ランキング』
第2位のムラマツはここに自分の机がある。
窓からはグラウンドで行っている部活の様子が見える。
ガラガラ
ドアが開く音がした。
ムラマツは顔を向ける。
「エンドー先生。どうされたんですか?」
扉の前に立っていたのはエンドーだった。
「・・・」
ガチャリ
黙ったまま中に入ったエンドーは鍵を閉めた。
「何か様子おかしくないですか?」
「不要な問答はやめようぜムラマツ。
2年6組のノノムラが正直に話してくれた。」
エンドーは3歳歳上のムラマツに平然とため口で喋る。
「なに…」
その言葉を聞き、ムラマツの表情が変わる
「お前に聞きたいのは1つ。
ノノムラを愛してるか、だ。」
「・・・・・・・・・・
フッ。
フッフ。
フハハハハ。」
ムラマツは突然笑い出す。
「勘弁してくれよ。僕がノノムラを愛しているかだと?
向こうが僕を求めてきたから応えてやっただけだ。」
ムラマツが本性を現す。
エンドーは表情変えずに話し続ける。
「質問に答えろムラマツ。」
「ただの遊びだ。
そろそろ終わらようとしていたところだよ。」
「ノノムラは本気でお前に恋してた。」
「たまにいるんだよなぁそういう奴が。
だからこそおいしい職業でもあるんだが。」
「今まで何人傷つけてきた?」
「はっ。いちいち数えてないよ。」
「・・・お前のフィアンセに同情するよ・・・」
ガタッ
エンドーはムラマツに近づき威圧する。
「お、おい。何する気だ。」
「いいか。
俺達はノノムラを守る為にこの事は口外しない。
だけど忠告しといてやる。
お前は絶対に敵に回しちゃいけない男を敵に回した。
カドクラに殺される前に自主退職するんだな。」
「…………」
圧倒的な雰囲気に押され、何も言い返すことができないムラマツを尻目に、エンドーは180°向き直り部屋を出ようとする。
「お前にとっちゃ学校は女子高生を引っ掛けるただの遊び場かもしんないけどな、この学校は俺の大切な母校だ。
もうお前の好きにはさせん。」
最後にそう言い残して、部屋を出た。