その男、カドクラ ケンイチ











日が沈みかけて暗くなる。


部活を終えた生徒達がバラバラと帰っていく。




カドクラとエンドーはその様子を校舎の屋上から見下ろしていた。



「よくやったな。」



煙草をくわえながらエンドーはカドクラを見る。



「ノノムラは純粋で、正直な子ですから。」


「あいつをぶっ飛ばしたい気持ちは十分分かるけど、変な気起こすなよ。」


「はい。」







カドクラは病院でノノムラに会った事はエンドーに話していない。


しかし、ストラップから気づいた2人の関係は3時間目の放課の時に相談していた。






「ノノムラだけじゃない。
ここの生徒達はみんな純粋で良い子ばかりですよ。」


「俺らも見習わなかんな。」


「大人がどう接していけばいいか、考えさせられますね。」


「んだ。」




「エンドー先生もこの学校の生徒だった時は純粋で真面目だったんですよね。」


「お前絶対いま小馬鹿にしただろ。」


「ははは。」



「でもまぁなんか。久しぶりに高校の連れに会いたくなったわ。」






エンドーは携帯灰皿に煙草を消す。





「ってかノノムラは大丈夫そうか?」


「僕がしてあげられる事はしました。
あとは本人に任せます。」







2人は職員室に戻っていく。









「もうすぐ7月か。」


「早いですね。」


「夏休み前にもう何も起きなけりゃいいけどな。」


「そうですね。」












季節は夏へと移り変わっていく。










第18章 完

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