その男、カドクラ ケンイチ







1時間近く及んだ会議が終わり、カドクラは気分転換に6組の教室に行った。





「あれ?タカハシ・・。」



とっくに部活の時間なので誰もいないと思っていた教室にはタカハシがいた。




「珍しいね。何かあった?」


カドクラは中に入る。





「図書室まで行くのがめんどくさいからここで読んでました。」


タカハシは太宰が書いた本を読んでいた。





「どうりで国語の成績がいいわけだ。」


カドクラは知らないタカハシの一面を見れて嬉しくなる。





パタッ


タカハシは本を閉じてカドクラを見る。



「オオシマ、ゆーへい、アカイ。
そしてノノムラ。
先生はすごいな。」


「ん?何が?」


「職員会議で犯人探しですか。
平和な人達だ。」


「タカハシ、一体どうした?」




カドクラはいきなり淡々と話し始めるタカハシに動揺する。



「…もう帰ります。」



タカハシはかばんを持ち、教室を出る。



「気をつけてな。」


「先生のほうこそ。」



タカハシはうっすら笑みをうかべ、下駄箱へ向かった。






ひょっとしたら、まだ知らないタカハシの一面があるかもしれない




カドクラはしばらく教室に佇む。



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