その男、カドクラ ケンイチ
プップー
エンドーが車のクラクションを鳴らす。
しばらくするとカドクラが出てきた。
小走りで車に乗り込む。
「ありがとうございます。」
「こういう時に車があると便利だろ。」
エンドーは車を発進させる。
「詳しいことは俺も聞いてねぇ。
でも重傷らしい。」
「何で教頭先生が・・」
カドクラは今だに状況が整理できていない。
「俺もさっきアザクラのとっつぁんから聞いたばっかだ。
一体何があったんだよ・・」
--------------------------------------
教頭が何者かに襲われ重傷
救急車で病院に運ばれた
---------------------------------------
2人にこの情報が飛び込んできたのである。
車でかっ飛ばし、やがて教頭が搬送された病院にたどり着く。
2人は急いで中に入った。
「とっつぁん!!」
看護師に案内された病室の前には、堂々秀高校第85代校長 アザクラが座っていた。
「すまんなエンドー。
カドクラ君も。」
「教頭先生は!?」
「大丈夫だ。命に別状はない。」
「はぁ~よかった。」
とりあえず2人は安堵する。
「まだ麻酔がきいているから眠っている。」
「何があったんですか!?」
カドクラが尋ねる。
「誰かに頭を強く殴られたようだ。
意識が戻ったら警察も事情を聞きたがっている。」
「でも教頭って車通勤っすよね?
何でそんな路上で・・」
「最近は徒歩とバスで通っていたそうだ。」
「そうなんすか・・・。」
「エンドー、そしてカドクラ君。」
アザクラは交互に2人を見る。
「学校があり、そこで学ぶ生徒がいる限り、何が起きようとも我々は変わらず仕事をする使命がある。
だからこそ、こういう非常事態の時は、君達のような若い力が頼りだ。」
「分かりました・・。」
2人は頷く。