その男、カドクラ ケンイチ
カドクラは職員室に戻る。
エンドーが登校していた。
「おはようございます。」
「おお。おはよう。」
エンドーはコミックホンホンを読んでいた。
「あれエンドー先生。
ゴロゴロコミックから乗り替えたんですか?」
カドクラも席に座る。
「・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
あぁ、まぁな。」
少し間を置いてエンドーが答える。
カドクラは今日の授業内容を確認し始める。
「・・・・・・・・・カドクラさぁ。」
しばらく黙っていたが、エンドーは本を見たまま喋る。
「はい。」
「さっき何て言った?」
「え・・?」
カドクラは質問の意味が良く分からない。
「さっきお前“ゴロゴロコミックから乗り替えたんですか”って言ったよな?」
「はい。」
「何で俺がゴロゴロコミック読んどるの知っとるの?」
(しまった・・・)
カドクラはようやく自分が口を滑らした事に気づいた。
「ま、前に言ってませんでしたっけ?」
「あ、そうだっけ。」
エンドーは本を閉じる。
「まぁ別にいいけど。あんま気張り過ぎんなよ。
お前なんか疲れとるでよ。」
「すみません、大丈夫です。」
「ん。」