その男、カドクラ ケンイチ
「何でよ!何であの子を苦しめるのよ!!
コウタを返して・・」
突然、号泣する母親がカドクラに食ってかかる。
それを父親とアザクラが必死に止める。
「落ち着け母さん。彼は高校の先生だ。
あいつじゃない。」
父親は必死になだめる。
「アーアアアア」
母親は声を上げて泣く。
「・・・・・」
カドクラは突っ立ったまま、何もできない。
言葉も発っせない。
「カドクラ先生・・座って待ちましょう。
我々には今それしかできない。」
アザクラがカドクラに手をかける。
「・・・・・・」
カドクラは黙ったままベンチに座る。