その男、カドクラ ケンイチ
翌朝
堂々秀高校2年6組のHRにはエンドーが現れた。
「おっーす。席着け~。」
何も知らない6組の生徒は席に着く。
当然空席が一つ。
タカハシの席は空いていた。
「起立
礼
着席」
「おはようございます。
カドクラ先生なんだけど、ちょっと遅れて学校来るんで今日は俺がHRやるね。」
エンドーは連絡事項を伝える。
「あ~っと。お前ら2限目現国か。」
今日の2ー6の2時間目はカドクラの現代国語だった。
「カドクラ間に合わん可能性高いで、とりあえず自習しといて。
俺も授業入っとるで誰か違う先生に来てもらうわ。」
「モモイ先生がいい!」
ダテ ゆーへいが声を上げる。
この一言でクラスが笑いに包まれる。
「よーし、絶対男の先生に来てもらお。」
エンドーも笑顔で返す。
「最後に1つ。」
エンドーは一呼吸置いてから口を開く。
「いずれ分かることだから先にみんなに言っとくけど、タカハシが・・」
もう一度エンドーは一呼吸置く。
自分を落ち着かせる為に。
「タカハシが昨夜、自宅マンションの屋上から転落する事故が起きてな・・。」
エンドーの言葉にザワザワした空気が一瞬にして静まり返る。
「まだ意識が戻ってなくて、病院にいる。
何も分かってないからここまでしか俺も話せないけど、きちんとみんなにも報告するから。
みんなはいつも通り1日がんばろまい。」
エンドーはHRを終わらせる。