その男、カドクラ ケンイチ
全校生徒出校日の今日の午後から、各クラスでは夏休み明けに控える文化祭の準備を始める。
お化け屋敷 クレープ屋 舞台発表…
猛暑の熱気と生徒の活気に包まれる堂々秀高校。
そんな活気溢れる校舎の屋上に、エンドーとモモイが2人で立っていた。
「エンドー先生って、何で教師になろうと思ったんですか?」
「そんなこと、忘れちまったよ。」
「ハハハ、エンドー先生らしいです。
でも・・・先生がいつも屋上にいるのって、煙草休憩だけが目的なんじゃなくて、
学校全体がこの場所から見られるからなんですよね?」
「さすが、モモちゃんは何でもお見通しだな。」
コンドーはくわえていた煙草を口から離すと、モモイとは逆側に煙を吐く。
「8年経ってもさ、ここで過ごした時は色褪せないっつーか、高校生活3年間、全てが懐かしいんだよね。」
「私も高校時代が一番好きだったかも。」
「高校生の時には分からなかった。」
「何がですか?」
「大人になった自分が、こんな風に思うってことを。」
「なんだか今日はいつもと違って真面目ですね。」
「おいおい!俺がいつもふざけてるみたいじゃないかよ。」