その男、カドクラ ケンイチ















キーン コーン カーン コーン


4時間目終了を告げる合図が鳴る。



束の間の昼休み


生徒達はお弁当を広げたり売店へ足を運ぶ。





「おーいカドクラ。
売店行こまい。」


職員室に戻ってきたエンドーがカドクラに声をかける。



「あ、すみません。
ちょっと用事があるんで先に行っててください。」


「そうか。
なんか買ってきといてやろか?」



「ありがとうございます。
じゃあいつもので。」


「マミーとジャムパンな。」


エンドーは売店へ向かう。




カドクラはグラウンドの近くにある体育教官室に向かう。








体育教師 タケダ


カドクラはあまり会話を交わしたことはない。


しかし生徒指導として生徒に厳しくあたっている姿は印象的であった。














ガラガラ


体育教官室の扉を開けると、
タケダを含め体育教師が数人談笑していた。





「カドクラ先生。わざわざすみませんね。」


「あ、いえ。」






2人は教官室の外で話し始める。



「相談したいことって何ですか?」


カドクラが尋ねる。




「実はゴールデンウィーク中の23時ぐらいに見回りをしようと考えててね。」


「見回り?どこをですか?」


「学校周辺のゲームセンターとかファミレスとか。」


「はぁ。」


「生徒達が深夜に出歩いていて何か事件に巻き込まれたら大変だからね。」





なんとなく嫌な予感をカドクラは感じる。






「いま独身の男性の先生に声かけてるんだけど、
カドクラ先生はどっか都合良い日ないかなぁ。」



悲しきことにカドクラはまだ全然ゴールデンウィーク中の予定がなかった。



「一応空いてますけど…」


「おお!ぜひ協力してもらえないかな?」


カドクラには1つしか選択肢がない。


「分かりました。」




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