その男、カドクラ ケンイチ
カドクラは教頭に連れられ校長室の隣の面談室へ入った。
「休み明けからいよいよ2ー6の担任をお任せするわけですけど、大丈夫ですね。」
「はい。これから生徒達と一緒に勉強していこうと思います。」
「アザクラ校長も期待していますのでよろしくお願いします。」
「分かりました。」
「何か悩みができたら私でも他の先生方にでもすぐ相談してください。」
カドクラは教頭に対してかなりの信頼を寄せていた。
堂々秀高校に転勤してきてから常に気にかけてくれているのが、エンドーと教頭だった。
「ありがとうございます。頑張ります。」
「1つだけ私と約束してください。」
「何でしょうか?」
「今の時勢、体罰の問題がかなり厳しくなってきています。
前の学校では通用しても、うちでは大問題になりますのでそこだけは肝に銘じてください。」
教頭の口ぶりを見る限り、カドクラが黒酢高校時代にやむを得ず犯した事を知っているようであった。
「重々承知しています。」
カドクラの言葉を聞き教頭が微笑む。
「ナガノ先生の慰労会は19時30分からでしたっけ?」
「はい。」
「今日は久しぶりに私も飲みますかな。」
「教頭先生車で来てるじゃないですか。」
「ハッハッハ。そうでした。」
2人は面談室を後にした。
第4章 完