その男、カドクラ ケンイチ





カドクラは携帯を片手に校舎の屋上へと向かう。





屋上ではエンドーが煙草を吸っていた。


「エンドー先生、煙草は学校の敷地外で吸わなきゃだめじゃないですか。」


「バレなきゃいいんだよ。」


「そのへんの不良じゃないですか。
それより電話で呼び出して、なんですか?」


「カドクラは屋上来たことあったっけ?」


「いや、初めて来ました。」


「そうだよな。鍵ないと来れんし。」





エンドーは携帯灰皿に煙草を消す。


「屋上ってさ、なんかいいんだよね。」


「まさか屋上の良さを伝えるために僕を呼んだんですか。」


「お前もたまには屋上で下校する生徒を眺めながらのんびりすると気持ちいいぞ。」


「テスト問題の作成があるんで戻りますね。」



カドクラは屋上をあとにする。











「あ~テストね。何年経っても嫌な響きだわ。」



エンドーは再び煙草に火をつける。

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