その男、カドクラ ケンイチ
カドクラが職員室に戻ると、珍しく生徒指導で体育教師のタケダがいた。
「タケダ先生。おはようございます。」
「あ、カドクラ先生。」
「誰かお探しですか?」
「校長先生か教頭先生に会いたくて。」
「多分まだ2人とも来ていないですよ。」
タケダは職員室をあとにした。
入れ違いにエンドーがやって来る。
「めっす。」
「おはようございます。」
「タケダ先生やっぱ慌てたな。」
「何かあったんですか?」
「お前、ニュース見てないの?
隣の地区で傷害事件あったじゃん。」
「えぇ!?」
エンドーの説明では、
昨夜、隣の地区で他校の女子生徒が何者かに刃物で切りつけられた事件が起きていた。
犯人は逃走した為捕まっていない。
堂々秀高校の生徒も大勢がその地区から通っている。
「すみません、知りませんでした。」
「来週からテストで生徒の帰りも早くなるだろ。
まさかタケダさん、また俺らに見回りさせるんじゃねぇだろうな。」
カドクラはすぐに自分のクラスの生徒の住所を確認し始めた。