その男、カドクラ ケンイチ
昨夜、隣の地区で起きた傷害事件は朝の職員会議でも話題に上り、
その後各担任の口から生徒へと伝えられた。
幸い今はテスト週間で部活はない。
放課後はなるべく固まって速やかに下校し、
帰宅後は外出を控えるよう生徒へ促す。
この日は学校全体が落ち着かない1日となった。
「いいか?アカイの家行ったらすぐに帰るんだぞ。」
業後カドクラは職員室前の廊下でオオシマにプリントを渡す。
「は~い。じゃあねっ先生。」
2年6組の生徒ではオオシマやアカイなど、数人が事件が起きた地区から通っている。
カドクラはその後、屋上へと向かう。
案の定エンドーが煙草を吸っていた。
「タケダさんやっぱ見回りするんだってよ。
警察に任せやぁいいのに。」
「僕はタケダ先生の気持ち分かります。」
カドクラは屋上から下校する生徒を眺める。
「今日も遅いの?」
「はい。テスト問題の最終確認を他の先生方と。」
「今夜は雨降りそうだな。」
「そんな予報でした?」
「ん~なんとなく。
今日は早く帰ろうかな。」