その男、カドクラ ケンイチ




カドクラとダテの2人は生徒指導室を出ると体育教官室に向かう。




「俺らに恩売ったつもりっすか?」


歩きながらダテがカドクラに尋ねる。




「お前見てると何か前の学校思い出すな。」


「パシられてたんだろ。」


「ハハハ。」












体育教官室の前に着きカドクラはタケダを呼ぶ。



「さっきはすみませんでした。」


ダテが謝る。



「ふん。ちょっとは反省したか。

カドクラ先生、6組は問題児ばかりで大変ですなぁ。
ナガノ先生が昨年倒れたのがよく分かる。」




頭を下げていたダテがぴくっとした。


しかし、それ以上にカドクラがぴくっとした。




「タケダ先生、ダテに謝ってください。」


「何を言ってるんだ君は。」


「僕は昨年の話なんて知りません。
だけど今のダテはこうして謝罪してます。

先生、指導と侮辱は全然違いますよ?」



「君はこいつらの肩持ってるのか?」


「肩を持ってるから謝らせたんです。」






「もういいよ先生。」


ダテが割り込む。


「大人の対応見せただろ?」


そう言うと白い歯を少し見せた。


< 57 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop