その男、カドクラ ケンイチ
カドクラとダテの2人は生徒指導室を出ると体育教官室に向かう。
「俺らに恩売ったつもりっすか?」
歩きながらダテがカドクラに尋ねる。
「お前見てると何か前の学校思い出すな。」
「パシられてたんだろ。」
「ハハハ。」
体育教官室の前に着きカドクラはタケダを呼ぶ。
「さっきはすみませんでした。」
ダテが謝る。
「ふん。ちょっとは反省したか。
カドクラ先生、6組は問題児ばかりで大変ですなぁ。
ナガノ先生が昨年倒れたのがよく分かる。」
頭を下げていたダテがぴくっとした。
しかし、それ以上にカドクラがぴくっとした。
「タケダ先生、ダテに謝ってください。」
「何を言ってるんだ君は。」
「僕は昨年の話なんて知りません。
だけど今のダテはこうして謝罪してます。
先生、指導と侮辱は全然違いますよ?」
「君はこいつらの肩持ってるのか?」
「肩を持ってるから謝らせたんです。」
「もういいよ先生。」
ダテが割り込む。
「大人の対応見せただろ?」
そう言うと白い歯を少し見せた。