その男、カドクラ ケンイチ
カドクラには大きな疑問が残っていた。
(あの夜、一体誰が電話してきたのか。
確かに末丸公園にはダテがいた。
アカイと仲良く。
しかし電話の男は、
「早く来ないと死ぬよ」
と意味深な事を言っていた。
電話主は何者なのか?
その目的は・・・?)
「それは確かにおかしな話ですね。」
職員室に戻ったカドクラは教頭にも電話の件を報告した。
「今思うと声色を少し変えていた気がします。」
「うちの電話、相手先の電話番号が表示されるやつにしませんか?いまの古すぎっすよ。」
エンドーも話に加わる。
「カドクラ先生、ダテ君とアカイさんに電話の件は話しましたか?」
教頭が尋ねる。
「いえ、ちゃんと話はしてません。」
「何か心当たりがあるかもしれませんね。」
エンドーが何か閃いたように声を上げる。
「ダテの名前を知ってたってことは意外と身近な人間だったりして。」