その男、カドクラ ケンイチ
ようやく始業式も終わり、
生徒たちがぞろぞろと教室へ向かっていく。
教頭を見つけたカドクラは小走りに向かう。
「あの教頭先生、
2年6組の担任のナガノ先生はどこにいるのでしょうか?」
「ああ、彼女は今日は病院に行ってから来るから、
もう間もなく来ると思うよ。」
「どこか具合でも悪いんですか?」
「いやいや、逆だよ。」
「はぁ。」
「とりあえず職員室に行っていてください。
まだナガノ先生が来てなかったら私と6組へ行きましょう。」
カドクラは職員室へ向かう。
「おう。なかなか堂々としてたじゃねぇか。」
エンドーが話しかけてきた。
「もう初日から分からないことだらけですよ。
2-6の副担になるし、肝心の担任のナガノ先生はいないし。」
「お前、ナガノ先生見たら多分もっと混乱すると思うよ。」
「まぁ結構驚きの連発だったんで、
もうそんな大したことでは驚かないですよ。」
「楽しみだ。まぁ俺2-5の担任だでよ。
仲良くやろまいか。」
「あ、そうなんですか!頼もしいです。」
「お前今日仕事終わったら暇だろ。」
「ええ。一応。」
「実はナガノ先生も呼んであるんだけど、
親睦深める感じで、とにかくなんやかんやで
3人で飯でも食おうと思って。」
「ありがとうございます。ぜひ。」
(そんなことまで事前にセッティングしてくれているとは。)
カドクラは会った時よりエンドーを見直していた。