その男、カドクラ ケンイチ
職員室に戻り、扉を開けると
カドクラの視界に入ってきたのは、
少し小柄な女性とその周りを囲む先生たち。
女性は後ろを向いているので顔はよく分からない。
「お、ナガノ先生!おはようございます。」
隣にいたエンドーが声をかける。
名前を呼ばれた女性がこちらに振り返る。
そしてカドクラは絶句する。
そして察した。
校長の「期待してるよ」
教頭の「具合悪い?逆だよ」
エンドーの「多分もっと混乱すると思うよ」
「おはようございます。
あ、お隣はひょっとして例の新しい方ですか?」
「こいつがカドクラ。俺の1個下でした。
それよりBabyちゃんのほうは相変わらず順調ですか?」
「うん。元気に育ってるって。
予定通り8月に生まれます。」
「産休まであと1カ月とは。早いもんですね。」
ナガノのぽっこりしたお腹を見て、
開いた口が塞がらない。
カドクラはまさにそんな状況に陥っていた。
第1章 完