その男、カドクラ ケンイチ
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カドクラは今日も部活終わりのアカイに付き添って一緒に帰っていた。
同じく6組の生徒 ダテも一緒の時間に終わったので3人で自転車をこいでいた。
「腹減ったなぁ~。」
ダテはさっきから腹減った発言を繰り返す。
「うちも。」
アカイも乗っかる。
「今日もお母さん遅い?」
カドクラが尋ねる。
アカイは両親が共働きで、2人とも帰りが遅い。
だから自分で夕飯を準備することもある、
と聞いていた。
「あ~マッグ寄ってこればよかった。」
ダテは空腹が我慢できなさそうに自転車をこぐ。
「最近ゆーへいとは行ってないよね。」
アカイは携帯を片手に器用に自転車をこぐ。
「いいねー学校帰りに仲良くマッグって。高校生っぽいわ。」
カドクラは2人を茶化す。
「先生だってエンドーとよく行ってるじゃん。大の大人が。」
「いや、俺達は金がないから・・。」
やがてダテの家の方向へと向かう分かれ道に差し掛かる。
「んじゃあ、また明日な。」
ダテは曲がろうとする。
「あ!ダテちょっとストップ。アカイも」
カドクラの言葉で2人は止まる。
「なんだよ。腹減ったって言ってるじゃん。」
カドクラは周りに人がいないことを確認して話し出す。
「実はさ・・お前らに協力してほしいことがあってさ。」
カドクラは真剣な面持ちで話し始めた。