その男、カドクラ ケンイチ
「ノノムラ、おめぇかこんなん広めたのは!?」
2年6組ではダテ ゆーへいがクラスメートの女生徒に激しく詰めよっていた。
「だったらどうする?」
さらりとかわす女生徒。
彼女の名は ノノムラ マキ。
高校2年生にして、凛とした大人の雰囲気を漂わせる。
「これってホントなの?」
側にはアカイもいた。
「黒酢の人から聞いたんだよ。」
「まーたおめぇは新しい男か!」
「なに、ゆーへい嫉妬してるの?」
「ちげぇわ!」
会話にオオシマも加わろうとする。
「マキ、こんなことするなんてひどいよ。」
「なんなのよさっきから。
みんなカドクラのこと気に入っちゃって。」
ノノムラは嘲笑する。
「俺は信じない。
カドクラは他の先公とは違うんだよ。」
ダテはカドクラを擁護する。
「だったら本人に聞いてみれば?
どうせ違うって言うに決まってるけど。」
2年6組の生徒、というより学校全体が昨日以上に騒がしくなっている。
ガラガラ
朝のHRの時間。
6組の教室に入ってきたのはカドクラではなく、エンドーだった。
「おいっすぅ~。
はい号令~
おいっすぅ~。」
エンドーは淡々とHRを始める。
「カドクラ先生は?」
やはり生徒から声が上がる。
「カドクラ先生はちょっと会議中。」
「何のですか?」
ありがちな理由だったがノノムラが追求する。
「黒酢高校での武勇伝をムトウ先生とかが確認しとるぞ。」
エンドーから直球が返ってきたので一瞬静まり返る6組。
そして再びざわつく。
「お前ら。メールもブログもいいけどよ。
普段からでもそういうのはトラブルの元になるから。気をつけろよ。」
エンドーはそそくさとHRを終わらせた。