その男、カドクラ ケンイチ
キーン コーン カーン コーン
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴る。
生徒達はパラパラと次の授業に向かう。
2年6組の今日の5限目は現代国語。
カドクラの授業である。
朝のHRに姿を現さなかったので、6組の生徒にとっては今日初めてカドクラの姿を見ることになる。
ガラガラ
「ごめんごめん。号令お願いします。」
カドクラは少し遅れて6組に来た。
礼を終えて生徒は着席する。
「朝はどうもすみません。」
カドクラは教科書を開かずに生徒達を見る。
「ちゃんとみんなに話をしないといけないね。
全部正直に話すから、俺の言うこと信じてほしい。」
カドクラが何を話そうとしているか、6組の生徒は全員理解していた。