その男、カドクラ ケンイチ
ーーーー保健室
保健室の先生 モモイは、グラウンドで体育を行うクラスを横目に、誰もいない保健室で一人仕事をしていた。
ガラガラ
「よっ」
エンドーが入ってくる。
「わぁエンドー先生。授業ないんですか?」
「今日の5限目はフリーなんよ。」
「保健室嫌いなのに珍しいですね。」
「保健室は嫌いでもモモちゃんは好きだからね。」
ぎこちないウインクをしたエンドーは椅子に座る。
「カドクラ先生は授業ですか?」
モモイが尋ねる。
「今は6組で授業しとるよ。
まぁ今日は授業じゃねぇだろうな。」
「さっきの昼休みは生徒の子達、カドクラ先生の事喋ってました。」
「だろうな。」
「黒酢高校のこと本当なんですか?」
モモイは作業をやめてエンドーのほうに向き直る。
「メールとかで回ってることは事実無根だよ。
カドクラはそんな悪人じゃねぇ。
だけど、あいつは黒酢高校で生徒を殴ったことはある。」
「そうなんですか。」
エンドーはカドクラから聞いていた黒酢高校時代の話をモモイに打ち明ける。