初恋クローバー 〜蒼空との約束〜

男の子の口から出た名前。


井口蒼真。


蒼真?なんで蒼真がここにいるの?



「…蒼真?だって蒼真は引越しちゃ…」



「絶対帰ってくるって約束したじゃん。ばーか。」



どうしよう。頭が全然追いつかないよ。


ちっちゃい頃引っ越しちゃった蒼真が頭良くなってイケメンになって帰ってきて、同じ高校で、今、陽菜の目の前にいるってこと?


ダメだ。やっぱ全然理解できない。



「忘れてはいなさそうだね!良かった、忘れてたら俺泣いちゃうとこだったからね。」



蒼真は呆然としてる陽菜なんておかまい無しに泣くふりをしはじめた。



「…本当に、蒼真なの?」


「そうだよ。イケメンに育ちすぎてわかんなくなった?」


「それもあるけど、…久しぶりだからよくわかんなくって」


「陽菜こそ、まだ持ってる?なくしてない?俺があげたお守り。」


「もってるよ。ちゃんと。なくしてないよ!」


「ははっうそうそ!わかってる。陽菜がなくすわけないって知ってるよ。」



蒼真はそう言うと陽菜のポケットからポーチを取り出してその中に入っている物を手に取った。



蒼真が手に取ったのは、陽菜が大切にしているよつばのクローバーだった。
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