初恋クローバー 〜蒼空との約束〜
「ほら、ちゃんと持ち歩いてる。えらいえらい!」
蒼真は陽菜の頭をくしゃくしゃっと撫でた。
そして嬉しそうに笑ってる。
不意にも陽菜はその笑顔にときめいてしまった。
「ちょっ…蒼真!髪の毛ぐしゃぐしゃになっちゃう!」
そういって陽菜は蒼真の手を頭からのけた。
…え、なんで陽菜こんなにドキドキしてんの。
陽菜が今好きなのは蒼真じゃなくて翔くんだし。
だから、今のは違う違う!久しぶりに会うからちょっと感覚がおかしいだけで…。
蒼真のこと好きだったのは…むかしのことだもん。
陽菜は髪の毛をなおすふりをしてピンクに染まった顔を隠した。
大丈夫。大丈夫。すぐに慣れる。蒼真だって陽菜のことはもう友だちだって思ってるし!
陽菜は深呼吸をして、蒼真に向かって言った。
「蒼真!陽菜、友達と約束してるから、もーいくね!じゃーね!」
陽菜は顔を隠したまま走って教室に戻った。