初恋クローバー 〜蒼空との約束〜

「ほら、ちゃんと持ち歩いてる。えらいえらい!」


蒼真は陽菜の頭をくしゃくしゃっと撫でた。

そして嬉しそうに笑ってる。

不意にも陽菜はその笑顔にときめいてしまった。



「ちょっ…蒼真!髪の毛ぐしゃぐしゃになっちゃう!」



そういって陽菜は蒼真の手を頭からのけた。


…え、なんで陽菜こんなにドキドキしてんの。

陽菜が今好きなのは蒼真じゃなくて翔くんだし。

だから、今のは違う違う!久しぶりに会うからちょっと感覚がおかしいだけで…。


蒼真のこと好きだったのは…むかしのことだもん。



陽菜は髪の毛をなおすふりをしてピンクに染まった顔を隠した。



大丈夫。大丈夫。すぐに慣れる。蒼真だって陽菜のことはもう友だちだって思ってるし!


陽菜は深呼吸をして、蒼真に向かって言った。




「蒼真!陽菜、友達と約束してるから、もーいくね!じゃーね!」



陽菜は顔を隠したまま走って教室に戻った。
< 14 / 31 >

この作品をシェア

pagetop