初恋クローバー 〜蒼空との約束〜
朝。
いつもより体がだるい。
気分も良くない。
…失恋ってこんな感じなのか。
蒼真はトーストを一口かじる。
いつもと同じはずなのに、味がしない。
ダメだな俺。
陽菜のココロが俺に向いていないってだけで、こんなになって。
ほんとなさけない。
こんなんだから陽菜は俺じゃない男の方に行ってしまったんだろうか。
…頭がズキズキする。
蒼真は頭痛薬を手に取る。
ゴクッと水と一緒に飲んで学校へ向かった。
陽菜の目。あれは本気の目だ。
遊びやなんとなくの気持ちなんかじゃない。
きっと、それだけそいつのことが好きなのだろう。
羨ましい。陽菜にそんなに想われるなんて。
羨ましくて、羨ましくて、妬ましい。
俺の気持ちは陽菜を困らせてたのか?
あんな表情。
させたかったんじゃない。
俺はただ、陽菜と一緒に笑いあっていたいんだ。
あ。
昇降口に、陽菜がいる。
「なかったことにしよう。」
そう言おう。それが陽菜のためなら。
俺の気持ちは忘れ去られたって構わない。
蒼真side,end