初恋クローバー 〜蒼空との約束〜

……だれ…?

おおきな手。

翔くんかな?

陽菜の頭を優しくなでてくれてる。

さっきまであんなに苦しかったのに

フワフワして、気持ちいいー。

目を開けようとしても、柔らかくて、気持ちよくて、目を開けることができない。



「ごめんな…陽菜…」



そんな悲しい声を出さないで。


あれ…でも。


翔くんは、陽菜のこと「陽菜」って読んでたっけか…?



陽菜はまた意識を失った。


白い天井。ここは…保健室?

陽菜の意識が戻ったのは4時間目の授業中だった。


「…ん。」


目を覚ますとそこには、あのおおきな手も、悲しい声の人もいなかった。

結局あれは誰だったんだろう。


フワ……――――


いい匂い。優しくて甘くて、溶けちゃいそうな匂い。


その匂いは陽菜の上に置いてあるジャージからの匂いだった。


ジャージに書いてあった名前。


二宮翔。


やっぱりここにきたのは翔くんだったんだ。

ジャージ、かけていってくれたんだ。

陽菜は翔くんのジャージに顔を埋めた。


ああー。好き好き好き。


翔くんの匂い。近くで感じるの初めてだからわかんなかったなあ。


こんな甘い匂いなんだ。


こんな匂いかいじゃったら皆が翔くんのこと好きになっちゃうよ。

陽菜が翔くんのジャージの匂いを全部吸い取っちゃいたい。


「…好きだなあ。」


これ、洗ってかえさなきゃ。

いつもは洗濯お母さんがやるけど、

これを洗うときは陽菜がやるんだ!


あー、洗うまで、ずっとかいでいたいや。

ほんと陽菜、翔くんのこと大好きなんだなあ。


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