大人になりたくて
まだ恋に飢えていた俺
「あ〜、結局兄貴のスーツ着ていくはめになったよ。つ〜か時間ぎりぎりだ」
高代真也。大学生の18歳。晴れて今日から入学の俺は、ばあちゃんからもらった入学祝い金をパチンコで使い果たし、新しいスーツを断念し兄貴のお下がりを着ていくはめになった。
電車に揺られながら俺はこれから先の大学生活を簡単にシュミレーションしていた。
「サークル入って、合コンしまくって、そんなこんなでかわいい彼女ができて…」

そんなこんなにうつつを抜かしていた俺はこのときそんなこんなの重みを後に思い知るとは夢にも思わなかった。


大学の入学式。キャンパスには俺みたいなそんなこんなに期待に胸ふくらましたようなアホ男子や、ザ・マニュアルといわんばかりに安定に向け志し高そうながり勉君までいろんなやつがいる。

女は…かわいいやつからそうでないこまで…。

式を終えた新入生がキャンパスに顔を出すと同時に、在学生による新入生争奪サークル勧誘のゴングがきって落とされた。


さっそくいろんなやつが俺に声をかけてくる。
「すいませ〜ん。旅行研究会入りませんか?」

一人目のアプローチ

「あんま興味ないっすね」


「そこのお兄さん、剣道部はいんない?やっぱり日本人は武道でしょう!」

アロハシャツ着たごつい兄ちゃん。

「体動かすの嫌なんで」

「ねぇねぇ?」

三人目がきた。

「ねぇねぇ?そこのスーツの似合うお兄さん?」

文句なしでスルーする俺。


いや、近い気もする。正確に言うと、「お兄さんに似合うスーツ」なのだ。

どうでもいいか…
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