キッチン・シェア〜びっくりするほど気づいてくれない!〜
この日も寒川は夕食を作るのが面倒で、会社の近くの中華料理店で済ませて帰宅した。

マンションの階段を上り、自分の部屋のある2階の廊下まで来ると、カレーのにおいがただよってきた。

カレーのにおいは、いかなるときでも食欲を刺激する魔法のようだ。さっき夕食を食べたにもかかわらず、いいにおいだと感じる。

(やっぱり、楠木さんとこだな)

自分の部屋の一つ手前の部屋が、においの源だ。

彼女の作るカレーはきっと魔法のように美味しいんだろうな、と思いながら、自分の部屋の鍵を開ける。

溜まった洗い物、くだらないものが散乱した部屋。

まあ、一人暮らしなんてこんなもんだろうな。

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