キッチン・シェア〜びっくりするほど気づいてくれない!〜
『こんばんは。今日、隣に越してきた寒川です。ご挨拶に参りました』

インターホンから若い男性の声が聞こえてきた。

さおりは新しい隣人に、愛想よく答えた。

「あ、はーい! 今出ますね!」

そういえば今日、引越しのような音がしていた。でも、隣だったとは。

かんがわさん。寒い川って書くのかな。会社の後輩にもいたな。

さおりはタオルで手を拭くと、玄関のドアを開けた。

ドアの向こうにいる人物と目が合う。

「あれ?」

「え!?」

2人は同時に叫んだ。

新しい隣人は、さおりの会社の後輩、寒川悠人だった。
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