キッチン・シェア〜びっくりするほど気づいてくれない!〜
金曜日。

仕事終わりに大勢の会社員が飲みに繰り出すこの夜、寒川は小学生のごとくまっすぐ帰宅していた。

本当は会社の飲み会に参加する予定だったが、「百合原も来る」という情報をなんとなく知っていたため断った。周りも引き止めなかった。

どんぐりを蹴りながら、自虐的な気持ちで帰路を進んでいく。

自宅マンションのある通りの手前の曲がり角で、後ろから声をかけられた。

「寒川くん?」





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