キッチン・シェア〜びっくりするほど気づいてくれない!〜
「……楠木さん」
声の主はさおりだった。
「あれ? 飲み会行かないんだ。珍しいね」
「あ、ああ、ちょっと気分が乗らなくて。楠木さんは?」
さおりはニッと笑って、
「だって今日は『世界ほほえみ街歩き』の放送日だからね! 最近不定期放送になっちゃってレアなんだけど、もう本当に素晴らしい番組。飲み会どころじゃとてもとても」
「……はあ。そうなんすか」
多分、この人は社内の噂など欠片も耳に入れないのだろう。しかし、今の寒川にはその我が道を行く姿がまぶしく映る。
「21時からだから、早く帰って夕飯作ってお風呂はいって万全の状態でスタンバイしないと。あー、楽しみ!」
「楠木さん」
「ん?」
寒川はさおりの目を見て言った。
「俺のぶんも夕飯作ってくれませんか?材料費は全部俺持ちで」
声の主はさおりだった。
「あれ? 飲み会行かないんだ。珍しいね」
「あ、ああ、ちょっと気分が乗らなくて。楠木さんは?」
さおりはニッと笑って、
「だって今日は『世界ほほえみ街歩き』の放送日だからね! 最近不定期放送になっちゃってレアなんだけど、もう本当に素晴らしい番組。飲み会どころじゃとてもとても」
「……はあ。そうなんすか」
多分、この人は社内の噂など欠片も耳に入れないのだろう。しかし、今の寒川にはその我が道を行く姿がまぶしく映る。
「21時からだから、早く帰って夕飯作ってお風呂はいって万全の状態でスタンバイしないと。あー、楽しみ!」
「楠木さん」
「ん?」
寒川はさおりの目を見て言った。
「俺のぶんも夕飯作ってくれませんか?材料費は全部俺持ちで」