キッチン・シェア〜びっくりするほど気づいてくれない!〜
「あ、これ大したもんじゃないですけどもらってください。これから、よろしくお願いします」

寒川はそう言いながら、最もポピュラーなメーカーの洗剤を手渡した。

さおりは「あらあらあら」と感嘆しつつ受け取る。

「すごい助かる〜。寒川くんは今日引っ越してきたんだよね?」

「ハイ、さっきやっとひと段落しました。まあまだ段ボールの山っすけど」

「今までどこに住んでたんだっけ? どうして引っ越したの?」

「前は茨城の実家に住んでましたけど、通勤キツくて」

「へえ、それは大変だったね。ここなら朝1時間は余計に寝られるよ。それにしても引っ越し疲れたでしょ。あ、ご飯どうするの?」

「まだガスも通ってないし、駅の牛丼屋かな……」

「私いいこと思いついたよ」
< 4 / 22 >

この作品をシェア

pagetop