サイレント・タロット
雪の日
雪国の冬は早い。

今年もまた白い季節がやってきた。

雪の日の夜、客はほとんど来ない。

カモミールティーを淹れて温まっていた。

今日はもう、店をたたもうか。

ちょうどそう思ったとき、店のドアが開いて、ドアにかけたベルがカランカランと鳴った。

入ってきた男を見て、思わず心が躍った。

「あら、久しぶりね」

「どーも。はぁーあったかい……!」

久しぶりに見る彼に、少し陰があるように見えて気になった。
< 13 / 15 >

この作品をシェア

pagetop