サイレント・タロット
「嘘」

「嘘じゃねぇよ。だから___あんたに会いに来たんだよ」

カードを切る手元が狂った。

そこに、彼の手が重なる。

「だから、君との相性って言ったよ」

「〜〜っ」

私はカードをバシッと机に叩きつけた。

「わかった! わかったから、必要以上に近づいてくるのはやめて頂戴。精神を集中させないと良い結果を出せないのよ」

「お、良い結果出したいの?」

「違う! そういうことじゃなくて……ああもうイライラするーーー!!」

彼はケタケタと笑った。完全に向こうのペースに持っていかれる。これだから嫌なんだ、この男と話すのは。

「良い結果っていうのは、私が実力を出し切った、真実に近い占いの結果っていうことよ。まったく……」

私は深呼吸をひとつすると、気持ちを切り替えて占いに集中した。

出た結果は、総合的に言って「相性かなり良し」というものだった。

「……」
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