【完】聖剣伝説~愛を紡ぎ出すもの~
ふと、心が凍りつくような予感が頭に過ぎっていく。
イザベラはふるっと小さく身振るいをした。
けして、寒くはない。
それどころか、この風は人肌よりも熱く、そしてざらりとした感触がある。
イザベラは、水を操りこれから起こるであろう物事を占うのが、幼い頃から得意だった。
イザベラにとって、それは自身の能力としてではなく、まるで友との遊戯のようなもの。
だから、けして特別なことではなかった。
物心ついた時には既に、水は自分にとってかけがえのない存在であり、何よりも信頼出来るものであったから…。
それなのに、これは一体どういうことだろう?
全てが漆黒に染まり、何も見えやしない。
風は、止まない…。
それどころか、増して行くばかりだった。