【完】聖剣伝説~愛を紡ぎ出すもの~
「アリア…キミがいなければ、もう既にこのオレ達は壊滅していたよ?キミは立派な勇者だ…それはここにいる皆がそう思っている…大丈夫だよ…誰もキミを責めたりなんかしていない…」
「そうですよ。アリア…貴女は私達にとってかけがえのない光の源です…どうか挫けないで…貴女は貴女の力をもっと信じるべきです」
アリアは、溢れかけた涙を拭いて、「ありがとう」とだけ呟く。
どうしても、心弱くなってしまうのは、ルークのことも関係している。
今思えば、彼にどれだけ私は助けられていただろう。
彼のナイトリーダーとしても雄姿に、どれだけの勇気を貰っていただろう。
そう思えば、尚更に胸が苦しくなる。
それでも、前に進まなければならない。
アリアは暫くの心の葛藤の末…深紅の瞳に力を燈した。
シィースラインが、ふわふわとした光から、ほんの少しずつ鋭い色に変化していく。
そこへ。
…まるでそれを待っていたかのように、辺りを振るわせるほど大きな声が響いた。
「ぐはははははっ!待っていたぞ!我の名は、ジン・プロメテウス!この世界で一番の炎の使いである!!貴様らのような非力な輩に、我を倒せるとでも思うたか!!…行くぞ!来い!!」
ザンッ
ザンッ
ザンッ
炎の柱が幾つもアリア達の前に、立ち上る。
一斉に燃え上がる、その火柱に喉の奥が灼けそうだった。
思わず、皆が口を閉じると、勝ったとばかりにジン・プロメテウスはニヤリと不気味な笑みを浮かべる。
「我をこの世にいざなった、あの御方の恩恵を忘れることは一度たりともないわっ!さぁ、…付いて来い!アリアよ!!我と戦うのだ!!」
半ば呆然と、「あの方って…?」と思ったアリアは、どうしたものかと口元を押さえ込んだまま、隣にいるコナーの手をきゅうっと握り締めた。
そんなアリアに、コナーはゆっくりと笑顔で握り返してきてくれる。
「呪文が唱えられないなら、アリア、キミが印を結べばいいだけさ。ね?焦らないで。アリアはそのままでいいんだ…ゆっくりと行きを吐いて…瞳を閉じて…そして、オレと呼吸を合わせて…そう、その調子だよ」
アリアは、コナーの言う通りに深い呼吸を繰り返した。
何故かあんなに感じていた暑苦しさはなかった。
閉じた瞳の中で、何かが生まれるのを感じる。
仄かに熱くなるシィースライン。
それに触れながら、アリアは自然と片手で印を結んでいく。
「イェーサ…イングズ…バズ・メム…」
「ふはははっ!そんな子供の言葉遊びのような印で、我に何が出来る!」
挑発するような言葉に、アリアの心は力を総動員する。
神経という神経を指に込めた。
それと同時に、どこかでぱきん、ぱきん、と氷を砕くような音が聞こえくる。
「ラ・プゥジャ…ダレス…フェス…アンザス!!!」
…。
束の間の瞬間。
全ての動きが止まり、無音になった。
そして、次の瞬間。
目の前に立ちはだかっていた火柱が、一本、また一本と崩れていく。
「ぐああぁぁぁぁぁっ!わ、我が負けるわけがあるまい!勝負はまだだ!アリア……っ」
そんな言葉も虚しく、炎を纏った巨人はシューシューと派手な音を立てて溶けていく。
「負けぬ!ここで、負けるわけ、…に、は…ぁぁぁ…」
「往生際が悪いよ、あんた。……さぁ…いざなおう、いざなおう…闇の最果てに。これから先も埋まり二度とこの世に出てこられないよう、貴方をこの詩でいざなおう…身も心も溶け出し、その姿を消して、そのまま闇へ葬ろう…」
アリアの放った印は、炎を全て凍らせる印だった。
それに合わせ、どうやらコナーも吟じていたようで、二人の力が相まって完全にジン・プロメテウスの動きを封じることが出来た。
ぐらぐらと、影が揺れる。
それと同時に、他の敵も姿を変えていった。
どろどろ…ずるりと変化していくその風貌。
先程まで、鋭い形をしていた”それ”は最早なんの跡形もなく、サラサラと最後は枯れた風に舞って行った。
「…勝てたの…?」
息を吐き、呼吸を整えるアリア。
コナーの息も少しだけ上がっているようだ。
「アリア…コナー…貴方達は一体……」
「そんなことより、先に進んだ方が良さそうだよ?もう次の敵がオレ達の行く手に待っている…でしょう?」
オリヴァーの言葉を遮り、そう言ったコナーは、どことなくピリピリとしていた。
オリヴァーはそれ以上何も追求することなく静かに頷く。
戦いが、戦いを呼ぶ。
アリアを襲おうとする者達は、こぞって「あの御方」と口にする。
次はどんな戦いが待っているのか…ルークと再会することは果たして出来るのだろうか。
アリア達の心は先を急ぎながらも、どこか擦り切れた写真のように、皆同じことを考え寂しく郷愁に駆られているようだった。
「そうですよ。アリア…貴女は私達にとってかけがえのない光の源です…どうか挫けないで…貴女は貴女の力をもっと信じるべきです」
アリアは、溢れかけた涙を拭いて、「ありがとう」とだけ呟く。
どうしても、心弱くなってしまうのは、ルークのことも関係している。
今思えば、彼にどれだけ私は助けられていただろう。
彼のナイトリーダーとしても雄姿に、どれだけの勇気を貰っていただろう。
そう思えば、尚更に胸が苦しくなる。
それでも、前に進まなければならない。
アリアは暫くの心の葛藤の末…深紅の瞳に力を燈した。
シィースラインが、ふわふわとした光から、ほんの少しずつ鋭い色に変化していく。
そこへ。
…まるでそれを待っていたかのように、辺りを振るわせるほど大きな声が響いた。
「ぐはははははっ!待っていたぞ!我の名は、ジン・プロメテウス!この世界で一番の炎の使いである!!貴様らのような非力な輩に、我を倒せるとでも思うたか!!…行くぞ!来い!!」
ザンッ
ザンッ
ザンッ
炎の柱が幾つもアリア達の前に、立ち上る。
一斉に燃え上がる、その火柱に喉の奥が灼けそうだった。
思わず、皆が口を閉じると、勝ったとばかりにジン・プロメテウスはニヤリと不気味な笑みを浮かべる。
「我をこの世にいざなった、あの御方の恩恵を忘れることは一度たりともないわっ!さぁ、…付いて来い!アリアよ!!我と戦うのだ!!」
半ば呆然と、「あの方って…?」と思ったアリアは、どうしたものかと口元を押さえ込んだまま、隣にいるコナーの手をきゅうっと握り締めた。
そんなアリアに、コナーはゆっくりと笑顔で握り返してきてくれる。
「呪文が唱えられないなら、アリア、キミが印を結べばいいだけさ。ね?焦らないで。アリアはそのままでいいんだ…ゆっくりと行きを吐いて…瞳を閉じて…そして、オレと呼吸を合わせて…そう、その調子だよ」
アリアは、コナーの言う通りに深い呼吸を繰り返した。
何故かあんなに感じていた暑苦しさはなかった。
閉じた瞳の中で、何かが生まれるのを感じる。
仄かに熱くなるシィースライン。
それに触れながら、アリアは自然と片手で印を結んでいく。
「イェーサ…イングズ…バズ・メム…」
「ふはははっ!そんな子供の言葉遊びのような印で、我に何が出来る!」
挑発するような言葉に、アリアの心は力を総動員する。
神経という神経を指に込めた。
それと同時に、どこかでぱきん、ぱきん、と氷を砕くような音が聞こえくる。
「ラ・プゥジャ…ダレス…フェス…アンザス!!!」
…。
束の間の瞬間。
全ての動きが止まり、無音になった。
そして、次の瞬間。
目の前に立ちはだかっていた火柱が、一本、また一本と崩れていく。
「ぐああぁぁぁぁぁっ!わ、我が負けるわけがあるまい!勝負はまだだ!アリア……っ」
そんな言葉も虚しく、炎を纏った巨人はシューシューと派手な音を立てて溶けていく。
「負けぬ!ここで、負けるわけ、…に、は…ぁぁぁ…」
「往生際が悪いよ、あんた。……さぁ…いざなおう、いざなおう…闇の最果てに。これから先も埋まり二度とこの世に出てこられないよう、貴方をこの詩でいざなおう…身も心も溶け出し、その姿を消して、そのまま闇へ葬ろう…」
アリアの放った印は、炎を全て凍らせる印だった。
それに合わせ、どうやらコナーも吟じていたようで、二人の力が相まって完全にジン・プロメテウスの動きを封じることが出来た。
ぐらぐらと、影が揺れる。
それと同時に、他の敵も姿を変えていった。
どろどろ…ずるりと変化していくその風貌。
先程まで、鋭い形をしていた”それ”は最早なんの跡形もなく、サラサラと最後は枯れた風に舞って行った。
「…勝てたの…?」
息を吐き、呼吸を整えるアリア。
コナーの息も少しだけ上がっているようだ。
「アリア…コナー…貴方達は一体……」
「そんなことより、先に進んだ方が良さそうだよ?もう次の敵がオレ達の行く手に待っている…でしょう?」
オリヴァーの言葉を遮り、そう言ったコナーは、どことなくピリピリとしていた。
オリヴァーはそれ以上何も追求することなく静かに頷く。
戦いが、戦いを呼ぶ。
アリアを襲おうとする者達は、こぞって「あの御方」と口にする。
次はどんな戦いが待っているのか…ルークと再会することは果たして出来るのだろうか。
アリア達の心は先を急ぎながらも、どこか擦り切れた写真のように、皆同じことを考え寂しく郷愁に駆られているようだった。