【完】聖剣伝説~愛を紡ぎ出すもの~
アリアは、怒りを感じていた。
それも、物凄く静かで深い怒りを…。


「コナー今こそ、本当の貴方の力を貸して頂戴!私は必ずルークを助け出してみせる!」


瞳が深紅に燃えていくようだった。
それを見たコナーは黙って頷く。


「我が主…仰せのままに」


そう言うやいなや、コナーは腰元の鎖をしゃらんしゃららんと鳴らす。
アリアは深呼吸を繰り返した。


正直、自信などなかった。
ゼロ以下の可能性でしかないかもしれない。

それでも、変貌してしまったルークをどうにかして取り戻して、…もう一度仲間にしたかった。


「アルゥ・ラプ・ライザー………」


ゆっくりと一言一言に魂を込める、
印を教えてくれたイーサンからはずっとこう言われ諭されてきた。


『言霊ほど強い念はない』と…。


だから、アリアはしっかりと印を結ぶことに集中していった。


その間のコナーはしゃらんしゃららんと、まるで舞を踊るかのように、鎖を鳴らし続けた。

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