【完】聖剣伝説~愛を紡ぎ出すもの~
それでも、一行は先を急ぐ。
まるで物の怪に憑かれたかのように。
足はもう棒切れの如く固くなり、引き摺って歩いているような感覚だった。
西の森に入った途端、身を締めてくるような霧が立ち込める。
咽るような細やかな水分で溺れてしまいそうだった…。
唐突に、アリアがごくり、と息を飲んだのが皆に伝わる。
それにいち早く反応したのがコナーだった。
「アリア…?」
「いけない…この先には、何か大きな力が……」
そう言うと、ずっと気を張り詰めていたからなのか、アリアはふらふらと、体をしならせた。
コナーがすぐにその身を庇うようにして、引き寄せる。
アリアは、コナーの群青色に濡れた瞳が、心から好きだと思う…こんな時に、いや…こんな時だからこそだろうか……。