【完】聖剣伝説~愛を紡ぎ出すもの~

不穏な空気は、徐々に真綿に水を浸していくような息苦しさを孕んで、一行の足取りを重くした。



キィーーーーーーン



耳が、割れるような音が不意にやって来る。

その後すぐに、今までとは全く違う闇が、一行の周りにまとわり付いてきた。


しゅんっ


「つっ!」

「くっ!」



鋭い音と共に、皆の皮膚が裂けられていく。
アリアは、足を…他の皆は背中や腕を。
焼けるように熱い、血が彼方此方に流れていった。


「アリアっ!」

「……っ!私は平気よ!みんなは?!」


ぎらぎらと怒りに燃えた、アリアの朱色の瞳が更に紅色に染まっていた。

裂かれた皮膚が、そのまま鼓動となって痛んでいく。

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