【完】聖剣伝説~愛を紡ぎ出すもの~
つつ、と地面にその体液が落ちた時、ふと、コナーは何を思ったのか…アリアの腰元にあるアシューダの聖水を、自分に貸してほしいとアリアに頼む。
「えぇ…いいわ。でも…?」
「アリア…オレを信じて?」
「……分かったわ…」
コナーのすることは、いつも初めは訳が分からないけれど、必ず何かに導いてくれる…。
それが分かっているから、アリアはぎゅっと祈りを込めて大事に握り締めた後、そのこぽこぽと泡立つ琥珀色の聖水をコナーへと手渡した。
コナーは瞳を閉じる。
そして詩を吟じる時とは違った声色で、聖水の主であるアシューダに声を掛けた。
「アシューダ…アシューダ…アリアの友よ…。今一時だけ、オレの声に耳を傾けて…」
コナーの凛とした声が辺りに響く。
こぽこぽとした聖水は、何の変化もしない。
けれど、誰もそれを咎めなかった。