【完】聖剣伝説~愛を紡ぎ出すもの~
見る見る内に、コナーはその姿を変えてゆく。
それはどう見ても吟遊詩人なんかではなく、神々しく逞しさを持った、グレイスという立派な一人の戦士だった。
「大丈夫。オレは負けない。君を守ると誓ったことを違えることは絶対にしない」
「はっ、馬鹿め!今の我に勝てるとでも思ったか!!」
「…どっちが、馬鹿か今から分かるよ」
グレイスはスッとリュートを振りかざし、耳へ漣いでいくような音を奏でた。
そこから、紅蓮の炎が巻き起きる。
巻き起こりゆらゆらと舞う焔は、じわりじわりとロテュスの鈍色の光を押し込んでいく。
「ぐああああああっ!」
「ほら、本気でかかっておいで?」
じゅくじゅくとロテュスは皮膚が、彼方此方ただれていく…。
けれど、ロテュスはそれでも立ち向かってくる。
その憎悪に満ちた姿は見るに耐え難い。