【完】聖剣伝説~愛を紡ぎ出すもの~
星翔ける願い、全てを乗り越えて…
グレイスは、ロテュスをまた挑発するように、ぐんっと地を蹴り、舞うように天空へと駆け上がる。
その身のこなしは、とても軽くまるで重力というものを感じさせなかった。
「グレイスよ!逃げる気か!そうはさせぬ!!!」
鈍色の光を放ちながら、ロテュスもその後を追う。
その姿は、なんとも形容のし難い醜さがあった。
「誰が逃げるって?ばかだね、ほんと。誰が1番強いか見せてあげるよ。おいで…今度はしっかりと八つ裂きにしてあげるから」
にこりと笑ったグレイスは冷ややかに顎をくいっと上へ向けて、自分と同じく天高く上ってくるようにロテュスに言い放った。
そこに、コナーであった時のおちゃらけた素振りは一つもない。
眉間に不機嫌そうに寄った小さなシワさえも、相手を凍らせるくらいの強靭な鋭さがあり、地上に残った一行は、皆固唾を飲んでその場を見守るしかなかった。